第四話「夙夜の攻防」
一晩かけて探索しても、何も起こらなかったし、何もわからなかった。
東の方から太陽が顔を覗かせ始めている。
「仕方ないな・・・・・弟に聞くか。」
「相棒の弟もこの学校なの?」
「ああ。」
「そうなんだ。俺の弟もここなんだよ。ついさっきまで忘れてたけど。」
俺も昨日唐突に思い出しただけなので、相棒のことを強く言えなかった。とりあえず、情報源が増えたと思えばいいだろう。
「じゃ、お前も弟に聞いてみてくれ。何か変わった事は無かったかと。」
「うん。」
そう言って相棒は早速携帯を取り出した。行動が早いのはいいことだが・・・・・。
「待て、せめてもう少しきちんと日が出てからにしろ。いくらなんでも寝てるだろ。」
「あ、それもそうだね。」
のほほんとした笑顔で、相棒が言う。ため息をついて、携帯の画面を見た。時間の確認をするため・・・・・だったんだが。
「・・・・・相棒、今すぐ携帯を見ろ。」
「うん。」
首を傾げつつ、相棒が携帯を覗き込む。ややあって、驚いたような声が聞こえてきた。
「圏外・・・・・ってだけじゃなくて、なんか時計もおかしいよ。」
「そっちもか。」
舌打ちして画面を睨む。外では半分ほど太陽が姿を現しているというのに、時計が示すのは午後10時半。仕事柄、携帯の時計も、今はしていないが腕時計も、時間にきっちりと合わせてある。
今のこの状況は明らかに変だ。一応、動いてはいる。だが、いきなり一時間進んだり、5分戻ったり、68秒なんてありえない秒が表示されたり、と妙な動きをしている。
「この学校の磁場がおかしいとか?」
「可能性はあるな。一旦出てみよう。」
「了解。」
敷地内を囲むように設置してある監視カメラに映らないよう、慎重に外に出た。入るときもそうやったので、多分痕跡は残っていないはずだ。
「あ、元に戻ってる。」
相棒が声を上げた。その手には携帯電話が握られている。手に持ったままだった携帯に目を落とすと、確かに時刻はしっかりと直っていた。日の位置から見て、多分大丈夫だ。電波も良好。
「・・・・・この学校にあるものが何か変な磁場出してるのかもな。怪奇現象の原因も、それかもしれない。」
「あぁ、そういうのってよくテレビでやってるよね。」
「それじゃ、一度帰って・・・・・いや、実家に行こう。」
あることを思いついて言い直すと、相棒は不満げな表情になる。ガキかお前は。
「携帯で聞くより、直接会ってそれとなく聞いた方がいいだろう。理由は適当にごまかしておけばいい。」
「そっか・・・・・そうだね。集合はどうする?」
「昼ごろに仮住居で落ち合おう。」
「わかった。」
浅い眠りは、微かな音で中断された。扉が開く音と、閉まる音。目を擦りつつ、近くにある筈の物を手探りで探す。手に硬い感触が伝わって、それを握り締めて立ち上がった。
泥棒だろうか、なんて思いながら握りしめた物―――携帯電話を開いて、一言二言呟き、画面に表示された文字に目を通した。途端にまだ残っていた眠気が遠のいた。
ため息をつきながら部屋をでた。そこで、侵入者と鉢合わせた。
「兄貴、もう行ったんじゃなかったのか?忘れ物?」
「いや、そういうんじゃないんだけど、起こしちまったか?」
兄貴の言葉に黙って首肯する。
「悪いな。ちょっとお前に聞きたいことがあったんだ。」
「ふぅん・・・・・まぁいいよ。とりあえず部屋入って。」
「・・・・・ああ。」
兄貴は少し躊躇ったようだ。躊躇うなら止めてくれ。
「最近学校で変わったこととかない?」
兄貴が、突然そんなことを言い出した。この兄が唐突なのはいつものことだけど。
「漠然としすぎてて分からないよ。具体的には?」
「うーん・・・・・なんていったらいいのかなぁ。人魂がでるとか、トイレの花子さんとか。」
「あぁ、怪奇現象って事?」
「うん、そう。」
「ふぅん・・・・・何でいきなりそんなこと聞くの?」
「ちょっと気になったから。」
兄貴がちょっと目を逸らした。これは、嘘ついてるってこと。とりあえず、聞いてる内容が内容だけに、聖に相談した方がしないといけないけど、俺、電話かけられないし。
「噂とかなら聞いたことあるけど、尾ひれとか付いてるだろうし、ちょっと信憑性無いと思うんだよなぁ。」
そうなの?と首を傾げる兄貴に微笑みを向ける。誤魔化されてくれると嬉しいな。まだ眠いし。
「さっき、いきなり兄貴に『学校で何か変わったことが無いか』と聞かれた。」
『え?聖も?俺もなんだよ。』
「とにかく、学校に行こう。嫌な可能性を思いついた。」
『あぁ、やっぱり聖もなんだ・・・・・。うん、わかった。多分、同じこと考えてると思うよ。』
「だろうな。じゃ、侵入口で落ち合おう。」
『わかった。』
「相棒、そっちはどうだった?」
「噂程度しか話してくれなかったな。昨日得た情報と変わらない。多少尾ひれが付いてたくらいだ。」
「こっちも同じだった。弟、あんまり興味が無いみたいで。」
「こっちも似たようなものだった。だからこそ妙なんだ。」
「どういうこと?」
「俺の弟は、そういう怪奇現象とか結構好む奴でな。噂でもそういうのがあれば、多少の興味は示していた。」
「そういえば、俺の弟もそうかも。」
「もしかしたら、何か関係があるのかもな。とりあえず、今日も学校に行ってみるか。」
「うん。」
いつもの侵入口の辺りに行くと、理事長がいた。舜が殆ど同時に辿り着く。
「理事長、おはようございます。」
「おはようございます。」
「ああ、おはよう。二人とも、どうだ?」
「一応結界は張っておいたので、今日駆除すれば何とかなるかなと。」
「でも、昨日の夜、何かまだ残ってる奴がいたみたいで、ちょっと厄介なことになりそうです。」
「そうか・・・・・では、今日は私も行った方がいいだろうか。」
真剣な面持ちで言う。確かに着てもらったほうがある程度は楽だけど・・・・・。
「お気持ちは有難いですが、理事長には、理事長にしかできないことをやっていただきたい。」
「証拠隠滅、よろしくお願いします。あと、先生たちも追っ払っちゃってください。」
「わかった。では、また後で。」
「はい。」
そうして、理事長に見送られながら学校に侵入した。すぐに茂みに身を潜めた。
「まずは、多いところからやらないと。」
「そうだな。とりあえず、4階に行こう。」
「4階?トイレから?それとも、全体?」
「全体を回ってからだな。とりあえず、見つからないように注意だけはしておこう。」
小さな声で相談して、頷きあう。ヒトはいないけど、とりあえず物陰に隠れながら校舎に潜入した。
学校への移動中に、依頼人と出くわした。
「あぁ、丁度いいところに!」
依頼人はそういうと、事情を細かく説明してくれた。その間、相棒は地面を歩く蟻を一生懸命に目で追っていた。
「つまり、追い出されたんですね。」
「はい・・・・・突然、実は今日は教員もいないほうがいいと言われて・・・・・。」
「まぁとりあえず、行ってみます。できる限りの事はやるつもりでいますから。」
「お願いします。」
まだ不安げな依頼人を置いて、相棒の肩を叩く。
「でも、昨夜一生懸命調べたけど、何も無かったよ。また調べるの?」
「何度か行ってみた方がいいだろう。その場所に行った者全員が、毎回そういう現象に遭ったわけじゃない。」
「そっか。それもそうだね。」
コイツは何が起こってもこのペースを崩さない気がする。
日が沈んで暗くなった頃、明かりもつけずに俺たちは音楽室にいた。
ほんの少しだけ、特殊なことをした塩を、音楽室の隅の方に、少しずつ撒いて歩く。俺は右回りに。聖は左回りに。俺にとっても聖にとっても二つ目の角でかちあう。
「これでいいか。花瓶の花も変えたし。」
「そうだね。次に行こう。」
頷きあって、出ようと思ったときだった。突然ヒトの話し声が聞こえてきた。
「・・・・・どうしよっか?」
「ここで隠れる場所なんて、ひとつだけだろう?」
「・・・・・・・・・・だよね。」
というわけで、唯一の隠れ場所に潜むことにした。
「ねぇ、今、何か音がしたような気がしなかった?」
「例の怪奇現象かもな。」
「そうかもね。」
期待しつつ扉を開けたのだが、どうやら期待は裏切られたらしい。特に変わったところは無い。
「何も起きる気配が無いね。」
「ああ・・・・・・ん?」
何か、昨日と違う気がする。
「あ、ねぇあのお花、昨日枯れかけてたけど今日は綺麗だね。」
「お前は本当にそういうところにはよく気が付くな。」
こういうときは、役に立つが。
昨夜見たときには花は枯れかけていた。今日は教員でさえさっさと追い返されたらしい。ということは、誰かが花を変えたということだろう。まさか、これが怪奇現象なわけがない。
じっと周囲を見回すと、ヒトの気配に気づいた。掃除ロッカーの中。
力任せにそれを開けた。
「・・・・・・は?」
驚きと呆れの入り混じった声を上げたのは、俺だけではなかった。
「よ、兄貴。」
「兄貴、やっほぅ。」
俺の弟と、相棒の弟が、諦めを感じさせる笑顔で手を振っていた。
「お前ら、何やってるんだ?」
二人は顔を見合わせて、それからため息をついた。
続く。
一晩かけて探索しても、何も起こらなかったし、何もわからなかった。
東の方から太陽が顔を覗かせ始めている。
「仕方ないな・・・・・弟に聞くか。」
「相棒の弟もこの学校なの?」
「ああ。」
「そうなんだ。俺の弟もここなんだよ。ついさっきまで忘れてたけど。」
俺も昨日唐突に思い出しただけなので、相棒のことを強く言えなかった。とりあえず、情報源が増えたと思えばいいだろう。
「じゃ、お前も弟に聞いてみてくれ。何か変わった事は無かったかと。」
「うん。」
そう言って相棒は早速携帯を取り出した。行動が早いのはいいことだが・・・・・。
「待て、せめてもう少しきちんと日が出てからにしろ。いくらなんでも寝てるだろ。」
「あ、それもそうだね。」
のほほんとした笑顔で、相棒が言う。ため息をついて、携帯の画面を見た。時間の確認をするため・・・・・だったんだが。
「・・・・・相棒、今すぐ携帯を見ろ。」
「うん。」
首を傾げつつ、相棒が携帯を覗き込む。ややあって、驚いたような声が聞こえてきた。
「圏外・・・・・ってだけじゃなくて、なんか時計もおかしいよ。」
「そっちもか。」
舌打ちして画面を睨む。外では半分ほど太陽が姿を現しているというのに、時計が示すのは午後10時半。仕事柄、携帯の時計も、今はしていないが腕時計も、時間にきっちりと合わせてある。
今のこの状況は明らかに変だ。一応、動いてはいる。だが、いきなり一時間進んだり、5分戻ったり、68秒なんてありえない秒が表示されたり、と妙な動きをしている。
「この学校の磁場がおかしいとか?」
「可能性はあるな。一旦出てみよう。」
「了解。」
敷地内を囲むように設置してある監視カメラに映らないよう、慎重に外に出た。入るときもそうやったので、多分痕跡は残っていないはずだ。
「あ、元に戻ってる。」
相棒が声を上げた。その手には携帯電話が握られている。手に持ったままだった携帯に目を落とすと、確かに時刻はしっかりと直っていた。日の位置から見て、多分大丈夫だ。電波も良好。
「・・・・・この学校にあるものが何か変な磁場出してるのかもな。怪奇現象の原因も、それかもしれない。」
「あぁ、そういうのってよくテレビでやってるよね。」
「それじゃ、一度帰って・・・・・いや、実家に行こう。」
あることを思いついて言い直すと、相棒は不満げな表情になる。ガキかお前は。
「携帯で聞くより、直接会ってそれとなく聞いた方がいいだろう。理由は適当にごまかしておけばいい。」
「そっか・・・・・そうだね。集合はどうする?」
「昼ごろに仮住居で落ち合おう。」
「わかった。」
浅い眠りは、微かな音で中断された。扉が開く音と、閉まる音。目を擦りつつ、近くにある筈の物を手探りで探す。手に硬い感触が伝わって、それを握り締めて立ち上がった。
泥棒だろうか、なんて思いながら握りしめた物―――携帯電話を開いて、一言二言呟き、画面に表示された文字に目を通した。途端にまだ残っていた眠気が遠のいた。
ため息をつきながら部屋をでた。そこで、侵入者と鉢合わせた。
「兄貴、もう行ったんじゃなかったのか?忘れ物?」
「いや、そういうんじゃないんだけど、起こしちまったか?」
兄貴の言葉に黙って首肯する。
「悪いな。ちょっとお前に聞きたいことがあったんだ。」
「ふぅん・・・・・まぁいいよ。とりあえず部屋入って。」
「・・・・・ああ。」
兄貴は少し躊躇ったようだ。躊躇うなら止めてくれ。
「最近学校で変わったこととかない?」
兄貴が、突然そんなことを言い出した。この兄が唐突なのはいつものことだけど。
「漠然としすぎてて分からないよ。具体的には?」
「うーん・・・・・なんていったらいいのかなぁ。人魂がでるとか、トイレの花子さんとか。」
「あぁ、怪奇現象って事?」
「うん、そう。」
「ふぅん・・・・・何でいきなりそんなこと聞くの?」
「ちょっと気になったから。」
兄貴がちょっと目を逸らした。これは、嘘ついてるってこと。とりあえず、聞いてる内容が内容だけに、聖に相談した方がしないといけないけど、俺、電話かけられないし。
「噂とかなら聞いたことあるけど、尾ひれとか付いてるだろうし、ちょっと信憑性無いと思うんだよなぁ。」
そうなの?と首を傾げる兄貴に微笑みを向ける。誤魔化されてくれると嬉しいな。まだ眠いし。
「さっき、いきなり兄貴に『学校で何か変わったことが無いか』と聞かれた。」
『え?聖も?俺もなんだよ。』
「とにかく、学校に行こう。嫌な可能性を思いついた。」
『あぁ、やっぱり聖もなんだ・・・・・。うん、わかった。多分、同じこと考えてると思うよ。』
「だろうな。じゃ、侵入口で落ち合おう。」
『わかった。』
「相棒、そっちはどうだった?」
「噂程度しか話してくれなかったな。昨日得た情報と変わらない。多少尾ひれが付いてたくらいだ。」
「こっちも同じだった。弟、あんまり興味が無いみたいで。」
「こっちも似たようなものだった。だからこそ妙なんだ。」
「どういうこと?」
「俺の弟は、そういう怪奇現象とか結構好む奴でな。噂でもそういうのがあれば、多少の興味は示していた。」
「そういえば、俺の弟もそうかも。」
「もしかしたら、何か関係があるのかもな。とりあえず、今日も学校に行ってみるか。」
「うん。」
いつもの侵入口の辺りに行くと、理事長がいた。舜が殆ど同時に辿り着く。
「理事長、おはようございます。」
「おはようございます。」
「ああ、おはよう。二人とも、どうだ?」
「一応結界は張っておいたので、今日駆除すれば何とかなるかなと。」
「でも、昨日の夜、何かまだ残ってる奴がいたみたいで、ちょっと厄介なことになりそうです。」
「そうか・・・・・では、今日は私も行った方がいいだろうか。」
真剣な面持ちで言う。確かに着てもらったほうがある程度は楽だけど・・・・・。
「お気持ちは有難いですが、理事長には、理事長にしかできないことをやっていただきたい。」
「証拠隠滅、よろしくお願いします。あと、先生たちも追っ払っちゃってください。」
「わかった。では、また後で。」
「はい。」
そうして、理事長に見送られながら学校に侵入した。すぐに茂みに身を潜めた。
「まずは、多いところからやらないと。」
「そうだな。とりあえず、4階に行こう。」
「4階?トイレから?それとも、全体?」
「全体を回ってからだな。とりあえず、見つからないように注意だけはしておこう。」
小さな声で相談して、頷きあう。ヒトはいないけど、とりあえず物陰に隠れながら校舎に潜入した。
学校への移動中に、依頼人と出くわした。
「あぁ、丁度いいところに!」
依頼人はそういうと、事情を細かく説明してくれた。その間、相棒は地面を歩く蟻を一生懸命に目で追っていた。
「つまり、追い出されたんですね。」
「はい・・・・・突然、実は今日は教員もいないほうがいいと言われて・・・・・。」
「まぁとりあえず、行ってみます。できる限りの事はやるつもりでいますから。」
「お願いします。」
まだ不安げな依頼人を置いて、相棒の肩を叩く。
「でも、昨夜一生懸命調べたけど、何も無かったよ。また調べるの?」
「何度か行ってみた方がいいだろう。その場所に行った者全員が、毎回そういう現象に遭ったわけじゃない。」
「そっか。それもそうだね。」
コイツは何が起こってもこのペースを崩さない気がする。
日が沈んで暗くなった頃、明かりもつけずに俺たちは音楽室にいた。
ほんの少しだけ、特殊なことをした塩を、音楽室の隅の方に、少しずつ撒いて歩く。俺は右回りに。聖は左回りに。俺にとっても聖にとっても二つ目の角でかちあう。
「これでいいか。花瓶の花も変えたし。」
「そうだね。次に行こう。」
頷きあって、出ようと思ったときだった。突然ヒトの話し声が聞こえてきた。
「・・・・・どうしよっか?」
「ここで隠れる場所なんて、ひとつだけだろう?」
「・・・・・・・・・・だよね。」
というわけで、唯一の隠れ場所に潜むことにした。
「ねぇ、今、何か音がしたような気がしなかった?」
「例の怪奇現象かもな。」
「そうかもね。」
期待しつつ扉を開けたのだが、どうやら期待は裏切られたらしい。特に変わったところは無い。
「何も起きる気配が無いね。」
「ああ・・・・・・ん?」
何か、昨日と違う気がする。
「あ、ねぇあのお花、昨日枯れかけてたけど今日は綺麗だね。」
「お前は本当にそういうところにはよく気が付くな。」
こういうときは、役に立つが。
昨夜見たときには花は枯れかけていた。今日は教員でさえさっさと追い返されたらしい。ということは、誰かが花を変えたということだろう。まさか、これが怪奇現象なわけがない。
じっと周囲を見回すと、ヒトの気配に気づいた。掃除ロッカーの中。
力任せにそれを開けた。
「・・・・・・は?」
驚きと呆れの入り混じった声を上げたのは、俺だけではなかった。
「よ、兄貴。」
「兄貴、やっほぅ。」
俺の弟と、相棒の弟が、諦めを感じさせる笑顔で手を振っていた。
「お前ら、何やってるんだ?」
二人は顔を見合わせて、それからため息をついた。
続く。
コメント