手元の小さな紙を眺め、伊吹が口を開いた。
「そういえばさぁ、今日の感じのテストどうだった?」
「そういうこと言うなよ伊吹・・・・。」
駆け引きは、既に始まっている。
ジョーカー
机の上に無造作に、それでいてそれなりの規則性を持って打ち捨てられた紙片。
それらと手元の物を交互に眺め、ため息をついた。
スタートとしては、まぁなかなかだろう。
これからの駆け引きが重要だ。
メンバーは俺と中野、戸部、凍山、伊吹、森山と、三上。
単純思考な戸部はともかく、他は強敵ぞろいだ。
駆け引きで伊吹と張り合うのは無理だし、三上の表情を読み取る自信はない。
中野と凍山はそこそこ頭も働くし、ポーカーフェイスも、三上ほどじゃないけどできるだろうし。
森山は表情に出やすいし駆け引きもあまり得意じゃないが、ものすごい幸運の持ち主だ。
頭を働かせ、思考する間にも、机の上に紙片が放たれていく。
今は、全員が敵と言って過言じゃない。
慎重に中野の顔に目を向け、手を伸ばす。
そして、次は森山の顔を見ながら、行動を見守る。
森山だけが唯一、純粋に楽しんでいる気がする。
それを思うと、ここまで気合を入れる自分が滑稽だった。
紙の擦れあう音とパサ、という微かな音。
そして、他愛のないようで、実際は重要な道具となっている会話。
2本の指で摘まんだ紙片を見て、笑みがこぼれた。
そして、手元に残っていた一枚と共に、机の上に放り出す。
中野の苦悶の声が聞こえたが、それは勝利への喝采に等しい。
一息ついて、観戦者としてその様子を見守ることにした。
そうこうしているうちに中野も離脱した。
残るのは・・・・・伊吹と、戸部か。
奇妙な二人が残ったものだ。
たった二人だから、すぐに机の上の紙がかさんでいく。
伊吹は手を伸ばし、戸部の表情を眺めながら、右へ左へと指を躍らせた。
そして、にやりと笑うと、片方の紙を掠め取る。
「ああああぁぁあああ!」
戸部の絶叫が響いた。
伊吹が投げ出した紙片の上に、仲間はずれの一枚が、やけくそ気味に叩きつけられた。
カードに描かれた道化師が、哀れな敗者を笑っているようだった。
以上。
短いです。
でも、いい感じ・・・・かな。
「そういえばさぁ、今日の感じのテストどうだった?」
「そういうこと言うなよ伊吹・・・・。」
駆け引きは、既に始まっている。
ジョーカー
机の上に無造作に、それでいてそれなりの規則性を持って打ち捨てられた紙片。
それらと手元の物を交互に眺め、ため息をついた。
スタートとしては、まぁなかなかだろう。
これからの駆け引きが重要だ。
メンバーは俺と中野、戸部、凍山、伊吹、森山と、三上。
単純思考な戸部はともかく、他は強敵ぞろいだ。
駆け引きで伊吹と張り合うのは無理だし、三上の表情を読み取る自信はない。
中野と凍山はそこそこ頭も働くし、ポーカーフェイスも、三上ほどじゃないけどできるだろうし。
森山は表情に出やすいし駆け引きもあまり得意じゃないが、ものすごい幸運の持ち主だ。
頭を働かせ、思考する間にも、机の上に紙片が放たれていく。
今は、全員が敵と言って過言じゃない。
慎重に中野の顔に目を向け、手を伸ばす。
そして、次は森山の顔を見ながら、行動を見守る。
森山だけが唯一、純粋に楽しんでいる気がする。
それを思うと、ここまで気合を入れる自分が滑稽だった。
紙の擦れあう音とパサ、という微かな音。
そして、他愛のないようで、実際は重要な道具となっている会話。
2本の指で摘まんだ紙片を見て、笑みがこぼれた。
そして、手元に残っていた一枚と共に、机の上に放り出す。
中野の苦悶の声が聞こえたが、それは勝利への喝采に等しい。
一息ついて、観戦者としてその様子を見守ることにした。
そうこうしているうちに中野も離脱した。
残るのは・・・・・伊吹と、戸部か。
奇妙な二人が残ったものだ。
たった二人だから、すぐに机の上の紙がかさんでいく。
伊吹は手を伸ばし、戸部の表情を眺めながら、右へ左へと指を躍らせた。
そして、にやりと笑うと、片方の紙を掠め取る。
「ああああぁぁあああ!」
戸部の絶叫が響いた。
伊吹が投げ出した紙片の上に、仲間はずれの一枚が、やけくそ気味に叩きつけられた。
カードに描かれた道化師が、哀れな敗者を笑っているようだった。
以上。
短いです。
でも、いい感じ・・・・かな。
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