無題。
2006年9月8日句点つけてみました。
今日もゲートボールは楽しかった!
舞姫の感想文が返ってきた!
・・・・・今日の出来事(順不同)、以上っ!!
では、いい加減佳境に入ってもらわないと色々困る小説をどうぞ!
『勿忘草の追想』
第六話
怖い。
何が怖いのかは分からない。否、分からないと云う事も怖い。
あの人は誰だ。知っている人、知らない人、知っている筈の人、誰だ。分からない。
仕事場の同僚も上司も、友人も、兄弟も、親も、日を追う毎に私の中から消えていく。
私は誰だ。私は本当に私なのか。
確かな物など何も無い。
――――あぁそれでも一つだけ。
お前の事だけは決して忘れたりはしない。私の中からお前がいなくなってしまったら、私は私でいられなくなるから。
誰かに名を教えてもらった『ワスレナグサ』という花をじっと眺める。世界の中で、浮かび上がる蒼。それを見つめていれば、あいつの事を忘れないでいられる気がした。
「それは幻想だよ、飯嶋隆さん。」
詠う様な声。まだ若い、少年の声のようだった。世界が、開いてしまった。
声の方向を見ると、そこには人影が二つほどあった。暗いので顔は見えない。
それはどういう事だ、と言おうとした時、ある事に気が付いた。開いた口を閉じる余裕も無く、私は呆然とする。
ここは、私の家だ。
もうとっくに社会人にもなり、一人で暮らしている筈の、私の家だ。
否、此処は、何処だ。私の家ではない。
乏しい記憶の中にも残る家具が見当たらない。慌てて記憶を遡る。私は、帰ってから外には出ていない。ずっと、アルバムを持って部屋にいた筈だ。記憶に最も強く残る、私の部屋に。
それなのに此処には何も無い。此処は何処だ。
「『此処』は『此処』。それ以外の何処でもないさ。」
凛とした声。先ほどの声とは違うが、こちらもまだ若い。いや、そんな事よりも。
「何なんだ、これは・・・・・。」
「これ?これはね、『御祓い』かな。」
「そう。『御祓い』。憑いたモノを祓うんだ。」
二人が愉しそうに言う。何が何だか分からない。ただ、酷く厭な感じがした。
「私は呪われたり祟られたりした覚えは無いよ。そんな事より、君達は一体何者なんだ?」
冷静に取り繕って尋ねる。二人は、微動だにせずに、詠うように答えた。
「「『魔法使い』」」
綺麗に揃った声。それに紡がれた言葉とその意味を理解した時、私は益々混乱した。
彼らは何者だ。魔法使い。それは何だ。分からない。何も、何も分からない。
「何だ・・・・・君達は何なんだ、此処は・・・・・・私は、何だっ!?」
もう何も分からない。厭だ。怖い。何が厭でどうして怖いのか。それすらも分かりはしない。
肩に何かが触れた。驚いて顔を上げれば、人影はすぐ傍にまで来ていた。二人の手が、それぞれ肩に置かれたらしい。私は思わず叫びそうになる。その前に、二人が口を開いた。
「大丈夫。」
「俺達が祓ってあげる。」
「心配なんてしなくていい。」
「俺達はその為に来たから。」
暗示のようだ、と思った。それでも私は落ち着きを取り戻すことが出来た。恐怖は消えはしなかったけれど、それも麻痺して分からなくなってきている。曖昧になっていく境界。二人が、笑った気がした。
続く。
やっと此処まで来た・・・・・。
次回、前回出た三人やらその他諸々が出てきます。
では、今日はこれにて失礼します。
今日もゲートボールは楽しかった!
舞姫の感想文が返ってきた!
・・・・・今日の出来事(順不同)、以上っ!!
では、いい加減佳境に入ってもらわないと色々困る小説をどうぞ!
『勿忘草の追想』
第六話
怖い。
何が怖いのかは分からない。否、分からないと云う事も怖い。
あの人は誰だ。知っている人、知らない人、知っている筈の人、誰だ。分からない。
仕事場の同僚も上司も、友人も、兄弟も、親も、日を追う毎に私の中から消えていく。
私は誰だ。私は本当に私なのか。
確かな物など何も無い。
――――あぁそれでも一つだけ。
お前の事だけは決して忘れたりはしない。私の中からお前がいなくなってしまったら、私は私でいられなくなるから。
誰かに名を教えてもらった『ワスレナグサ』という花をじっと眺める。世界の中で、浮かび上がる蒼。それを見つめていれば、あいつの事を忘れないでいられる気がした。
「それは幻想だよ、飯嶋隆さん。」
詠う様な声。まだ若い、少年の声のようだった。世界が、開いてしまった。
声の方向を見ると、そこには人影が二つほどあった。暗いので顔は見えない。
それはどういう事だ、と言おうとした時、ある事に気が付いた。開いた口を閉じる余裕も無く、私は呆然とする。
ここは、私の家だ。
もうとっくに社会人にもなり、一人で暮らしている筈の、私の家だ。
否、此処は、何処だ。私の家ではない。
乏しい記憶の中にも残る家具が見当たらない。慌てて記憶を遡る。私は、帰ってから外には出ていない。ずっと、アルバムを持って部屋にいた筈だ。記憶に最も強く残る、私の部屋に。
それなのに此処には何も無い。此処は何処だ。
「『此処』は『此処』。それ以外の何処でもないさ。」
凛とした声。先ほどの声とは違うが、こちらもまだ若い。いや、そんな事よりも。
「何なんだ、これは・・・・・。」
「これ?これはね、『御祓い』かな。」
「そう。『御祓い』。憑いたモノを祓うんだ。」
二人が愉しそうに言う。何が何だか分からない。ただ、酷く厭な感じがした。
「私は呪われたり祟られたりした覚えは無いよ。そんな事より、君達は一体何者なんだ?」
冷静に取り繕って尋ねる。二人は、微動だにせずに、詠うように答えた。
「「『魔法使い』」」
綺麗に揃った声。それに紡がれた言葉とその意味を理解した時、私は益々混乱した。
彼らは何者だ。魔法使い。それは何だ。分からない。何も、何も分からない。
「何だ・・・・・君達は何なんだ、此処は・・・・・・私は、何だっ!?」
もう何も分からない。厭だ。怖い。何が厭でどうして怖いのか。それすらも分かりはしない。
肩に何かが触れた。驚いて顔を上げれば、人影はすぐ傍にまで来ていた。二人の手が、それぞれ肩に置かれたらしい。私は思わず叫びそうになる。その前に、二人が口を開いた。
「大丈夫。」
「俺達が祓ってあげる。」
「心配なんてしなくていい。」
「俺達はその為に来たから。」
暗示のようだ、と思った。それでも私は落ち着きを取り戻すことが出来た。恐怖は消えはしなかったけれど、それも麻痺して分からなくなってきている。曖昧になっていく境界。二人が、笑った気がした。
続く。
やっと此処まで来た・・・・・。
次回、前回出た三人やらその他諸々が出てきます。
では、今日はこれにて失礼します。
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