「ん?イル、起きたのか?」
目が覚めて、真っ先にリィンの声が聞こえた。
「うん・・・・・・」
続く言葉が、何故だか出てこない。曖昧に笑う。普段何気なく使っている言葉なのに、どうして今日に限って、こんなにも言いにくいのだろう。
「まだ寝てるのか?」
「起きてるよ、ちゃんと」
「一応起きているのかもしれないが、『ちゃんと』と付け足せるほど覚醒していないと思うが?」
「うん・・・・・・」
普段と何一つ変わらない不機嫌そうな声に応えながら、窓から空を見上げる。綺麗な青だ。俺の部屋に窓は無い。今はリィンの部屋で昼寝をさせてもらっているので、こうして青い空を見上げる事ができる。
まだ頭がぼうっとする。
「まだ眠い・・・・・・」
「お前、不眠気味なんじゃなかったのか?」
「うん・・・・・・というより、だから、なのかなぁ。寝つけたの、本当に久しぶりだし」
何を言いたいのか上手くまとまらず、胡乱に言う。リィンは呆れているのだろう。見えないけど、きっとそうだ。
もう一度空を眺めた。青と白の対比が綺麗だ。屋根の上に上って昼寝しても面白いかもしれない。
ここのところ、眠れない日が続いた。身体には特に異常もないし、これといって原因が分からず周囲に心配をかけてしまっていた。
暫く寝なくても平気な体質だから俺自身はあまり気にしていなかったのだけれど、それも一週間近く続くと流石に厳しくて、仕事を早めに切り上げてリィンの部屋に押しかけて、貸してもらった本を読んでいた。暫く本を読んでいると不意に眠くなって、(本がつまらなかったとか難しかったとか、そういうのは全くなくて本当に何の前触れも無く眠くなったのだ。ちょっと不思議)リィンに頼んでベッドを貸してもらって、暫く眠った。
眠気の残る、というより眠気に半ば支配されている頭で、ぼんやり考える。
「何でだろう?」
「眠れた理由か?」
「ああ。今まで眠れなかったのに」
漠然とした疑問は頭をぐるぐると回るばかりだ。だめだ、相当眠いらしい。
「寝たいなら寝てろ。その方が静かでいい」
「んー・・・・・・そうする」
ほとんど開いていなかったような目蓋を閉じる。心地よい眠気に身をゆだねようとして、思い出す。
「リィン」
「何だ?」
「おやすみ」
重い目蓋をこじ開けてリィンをちらりと見る。いつも通りの不機嫌そうな顔。少しばかり呆れているようだった。
あぁそうだ、あの言葉を言わないと。
リィン、ともう一度呼んで、相変わらず不機嫌そうなリィンを見て、思わず笑う。
「ありがとう」
ああ、やっと言えた。
目を閉じて、今度こそ眠りについた。
終わり。
目が覚めて、真っ先にリィンの声が聞こえた。
「うん・・・・・・」
続く言葉が、何故だか出てこない。曖昧に笑う。普段何気なく使っている言葉なのに、どうして今日に限って、こんなにも言いにくいのだろう。
「まだ寝てるのか?」
「起きてるよ、ちゃんと」
「一応起きているのかもしれないが、『ちゃんと』と付け足せるほど覚醒していないと思うが?」
「うん・・・・・・」
普段と何一つ変わらない不機嫌そうな声に応えながら、窓から空を見上げる。綺麗な青だ。俺の部屋に窓は無い。今はリィンの部屋で昼寝をさせてもらっているので、こうして青い空を見上げる事ができる。
まだ頭がぼうっとする。
「まだ眠い・・・・・・」
「お前、不眠気味なんじゃなかったのか?」
「うん・・・・・・というより、だから、なのかなぁ。寝つけたの、本当に久しぶりだし」
何を言いたいのか上手くまとまらず、胡乱に言う。リィンは呆れているのだろう。見えないけど、きっとそうだ。
もう一度空を眺めた。青と白の対比が綺麗だ。屋根の上に上って昼寝しても面白いかもしれない。
ここのところ、眠れない日が続いた。身体には特に異常もないし、これといって原因が分からず周囲に心配をかけてしまっていた。
暫く寝なくても平気な体質だから俺自身はあまり気にしていなかったのだけれど、それも一週間近く続くと流石に厳しくて、仕事を早めに切り上げてリィンの部屋に押しかけて、貸してもらった本を読んでいた。暫く本を読んでいると不意に眠くなって、(本がつまらなかったとか難しかったとか、そういうのは全くなくて本当に何の前触れも無く眠くなったのだ。ちょっと不思議)リィンに頼んでベッドを貸してもらって、暫く眠った。
眠気の残る、というより眠気に半ば支配されている頭で、ぼんやり考える。
「何でだろう?」
「眠れた理由か?」
「ああ。今まで眠れなかったのに」
漠然とした疑問は頭をぐるぐると回るばかりだ。だめだ、相当眠いらしい。
「寝たいなら寝てろ。その方が静かでいい」
「んー・・・・・・そうする」
ほとんど開いていなかったような目蓋を閉じる。心地よい眠気に身をゆだねようとして、思い出す。
「リィン」
「何だ?」
「おやすみ」
重い目蓋をこじ開けてリィンをちらりと見る。いつも通りの不機嫌そうな顔。少しばかり呆れているようだった。
あぁそうだ、あの言葉を言わないと。
リィン、ともう一度呼んで、相変わらず不機嫌そうなリィンを見て、思わず笑う。
「ありがとう」
ああ、やっと言えた。
目を閉じて、今度こそ眠りについた。
終わり。
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